京西陣菓匠宗禅が子供たちの手焼体験を受ける理由


京西陣菓匠宗禅本店には年間、多数の子供たちが体験学習に訪れます。あられ、かきもち、せんべいの歴史、製法を学び、自分で焼いたおせんべいを味わうのです。

初めて受けた体験学習での出来事。

地元西陣の小学生男女七人が体験学習に訪れました。

まず私が子供たちに「あられって何から作られるのか知ってる」って聞いた時「いもとか、何かの粉とか、塩」との子供たちの返答に驚愕したのです。

さらに続けて「あられなんて食べない」とか「ポテトチップの方がいい」とか「なんでそんな大変な事やるの」との子供たちの声を聞いた時、テレビゲーム世代の今の子供たちは、私の子供の頃とは感覚が違うんだと寂しささえ感じたのでした。

しかしあられやおせんべいの素材の違いや製法の違い、また菓匠宗禅としてのこだわりや上技物処としての責務についてを順に話していくうちに、子供たちの態度が変わってきたのです。

そしていざ手焼体験。子供たちは目をキラキラと輝かせながら、手が熱いのを我慢し、せんべいを焼いているのです。その後自分で焼いたせんべいを食べながら「美味しい」と満面の笑みを浮かべていました。そして最後に「手の込んだものの大変さと素晴らしさが分かった。

これからはいっぱいあられを食べます」と言うのです。

それらの光景を見て私は「子供たちは何も変わっていないんだ。子供たちは何も悪くない。ただ単に今の大人が子供たちに何も教えられなくなったのだ」と気付かせられたのでした。

私はその日以来、地道ではありますが、コツコツと子供たちに本物の技・味について説いています。

そしてその事が菓匠宗禅のみならず業界全体の活性化につながると共に、こうして少しづつではありますが、より良き文化が継承されていくのだと信じているのです。
そしてまた、今日も菓匠宗禅本店では子供たちの笑い声であふれています。