当ホームページではワレ商品や訳アリ商品を販売しています。
おかげさまで毎月9日販売の「こわれ久助」は大変ご好評をいただいております。
訳アリ商品は京西陣 菓匠 宗禅のものだけでなく、京町家茶房宗禅や、関連会社、提携会社のものなど、その時々によって変わります。
2020年、コロナによる緊急事態宣言により売り場を失い、各メーカーに戻ってきた日本各地の「お土産菓子」をメーカーの垣根を越えて詰め合わせた「救援セット」は10回を重ね、たいへん多くの皆様に応援いただきました。
その節は食品ロス・フードロス削減を実現すると共に各メーカーの存続危機を救う一助にもなりました。本当にありがとうございました。
※日本各地のお土産菓子を詰め合わせた救援セット
他にもイベント中止により大量に残った当社商品や農家の作物を救うために企画した商品などを皆様にご案内させて頂きました。
もちろん訳アリ商品ですので、商品がある時も、無い時もあります。どちらかと言いますと、稀な事ですので、当サイトでお目にすることがありましたらラッキーと感じて応援いただければ幸いです。
時に、ワレ商品や訳あり商品の販売を決めたのは、昨今のコロナ禍がきっかけとなったわけではなく、かなり前の事でした。それは、日本のより良き文化であり、思考である「もったいない」という言葉に深く結びつきます。
若い頃の私はまだ賞味期限が残っていても返品されてきた商品やワレ商品を販売することは絶対に嫌で販売することを認めていませんでした。
「あられの製造はいつも命がけの真剣勝負」というこだわりと、また「返品された商品やワレを売るのは職人の甘えである」などと考えていたからです。
しかし、実のところ割れ商品は失敗作ということではありません。
あられの元となる餅は生きています。毎日毎日その表情を変えるのです。気候や天候、気温によって日々変化します。特に急に天候が変わったり、気温が変わると餅は大きく機嫌を損ねます。それが、割れを生むことにもなるのです。
もちろん商品発送時や袋詰めの加工時にも多少の割れは発生しますので、製造数の数パーセントはどうしても割れとなってしまうのです。
そんな中、特に昨今、この割れを「是非とも売って欲しい」というお客様からのお声を多く頂くようになりました。
※ワレを集めて毎月9の付く日に販売している「こわれ久助」
割れだからと言って手を抜いた商品ということは全くありません。通常の商品のように心を込めて作った結果、最後に割れてしまっただけであり、味にも食感にも変わりはないのです。
考え抜いた末に「こわれが気軽にあられを食べれることに繋がり、そして少しでもあられの美味しさを感じて頂く人が増えれば、あられ文化を残すことに繋がる」と考え方を変え、以降、毎月9の付く日に【こわれ久助】を販売することにしました。奇しくもこの「もったいない精神」による割れ販売が昨今の「フードロス削減」や「SDGs」と呼応するかのように皆様にも歓迎されています。
※3分の1ルール、2分の1ルールで返品されてくる商品
またずいぶん前のことですが、ある菓子メーカーの方から相談がありました。それは「日本には賞味期限の3分の1や2分の1ルールがある。全く問題なく食べることができる商品なのに、捨てないといけない。せっかく心を込めて作った商品なのに破棄しないといけない。どうにかならないものか」というものでした。
3分の1ルールとは、賞味期限の残り日数が3分の1になると販売を取りやめて返品するという売場主導のルールです。つまり賞味期限が120日の商品は期限の40日前になると売ってはいけないという厳しいルールなのです。それが2分の1ルールとなると半分と言ってもまだ賞味期限が60日もあるにも関わらず販売することはできないのです。
ここで皆様がよく勘違いをされていることがあります。
【賞味期限】とは製造メーカーが、何度も検査しながら美味しく食べられる日数の目安で、
表示日を過ぎて食べると身体に害を及ぼす可能性が心配になる【消費期限】とは違います。
「まだまだ十分な期間、食べることができる商品を捨てないといけない。世界中には食べるものがなく飢えで死んでしまう子供たちがいる世の中で、本当に食べることのできるものを捨てていいのか?」
割れは売りたくないというこだわりと共にそんな思いも心にずっと疑問として感じていました。
そう、「もったいない」と。
「それならば、賞味期限が少なくなっていることをお客様に正直に伝え、納得してお買い上げして頂ける場を作ろう。それにより職人たちが心を込めて作ったものが、また食べることができる食品が捨てられずに済むのならば、世の中に喜んで頂けるはずだ」。
そう思い立って始めた割れ商品の「こわれ久助」や時折お届けしている、賞味期限が短くなった通常商品の「もったいない企画品」です。
これからも日本人の「もったいない」という考え方を継承してきたいと考えています。
期せずしてSDGsの掛け声の中で多くの方々にご理解いただきお楽しみいただいております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。