京西陣菓匠宗禅のホームページではワレ商品や訳アリ商品を販売しています。 訳アリ商品は京西陣菓匠宗禅のものだけでなく、京町家茶房宗禅や、KOME Patisserie 米’s、京都 文禄庵、そして他社メーカーの商品など、その日によって変わります。もちろん訳アリ商品ですので、商品がある時も、無い時もあります。どちらかと言いますと、見つかれば幸運だったと感じて頂きたいと思っています。

それではなぜ訳あり商品を販売することを決めたかといいますと、それは日本のより良き文化であり、思考である「もったいない」という言葉に深く結びつきます。昨今、社会的な運動として「フードロス削減」運動の機運が高まっていますが、私たち菓匠宗禅では、いち早くそうした「もったいない」精神に基づいた行動に取り組んでいます。

若い頃の私はこわれ商品を販売することですら、嫌がって販売することを認めていませんでした。

それは「あられの製造はいつも命がけの真剣勝負」という考えと、また「割れを売るということは職人の甘えである」と考えていたからです。しかし割れ商品は失敗作ということではありません。

あられの元となる餅は生きています。毎日毎日その表情を変えるのです。気候や天候、気温によって日々変化します。特に急に天候が変わったり、気温が変わると餅は大きく機嫌を損ねます。それが、割れとなるのです。もちろん商品発送時や袋詰めの加工時にも割れは発生するので、どうしても製造数の数パーセントは割れとなってしまうのです。

この割れを「是非とも売って欲しい」というお客様からの多くのお声を頂きました。

割れだからと言って手を抜くことは全くありません。通常の商品のように心を込めて作りだした結果、最後に割れてしまっただけであり、味に変わりはないのです。

考え抜いた末に「こわれが気軽にあられを食べれることに繋がり、そして少しでもあられの美味しさを感じて頂く人が増えれば、あられ文化を残すことに繋がる」と考え方を変え、毎月9の付く日に【こわれ久助】を各店舗で販売することにしました。そしてオンラインショップでは毎月9日(8日20時から先行販売)のみの限定となりますが、通常の「こわれ九助」を倍増した大袋を販売しています。

ある日、京西陣菓匠宗禅プロデュースブランド『CoCo Color KYOTO』で販売する菓子メーカーの方から相談がありました。それは「日本には賞味期限の3分の1や2分の1ルールがある。全く問題なく食べることができる商品なのに、捨てないといけない。せっかく心を込めて作った商品なのに破棄しないといけない。どうにかならないものか」というものでした。

3分の1ルールとは、賞味期限の残り日数が3分の１になると販売してはいけないと売場が自由に決めることができるルールです。つまり賞味期限が120日の商品は期限の40日前になると売ってはいけないという厳しいルールなのです。2分の1ルールならまだ賞味期限が60日もあるにも関わらず販売することはできないのです。

賞味期限とは製造メーカーが、何度も検査しながら美味しく食べられる日数を決めたものであり、日を過ぎて食べたら身体に害を及ぼすという消費期限とは異なります。「まだまだ食べることができる商品を捨てないといけない。世界中には食べるものがなく飢えで死んでしまう子供たちがいる世の中で、本当に食べることのできるものを捨てていいのか？」疑問に感じたのです。

そう、「もったいない」と。

「それならば、賞味期限が少なくなっていることをお客様に正直に伝え、納得してお買い上げして頂ける場を作ろう。それにより職人たちが心を込めて作ったものが、また食べることができる食品が捨てられずに済むのならば、世の中に喜んで頂けるはずだ」と。

これからも日本人の「もったいない」という考え方を継承してきたいと考えています。